Angel

規模: 1.78 ヘクタール / 11,000 のブドウの木
標高:288m~261m
土壌: 泥灰岩/砂岩/粘土
露出: S/SW
品種: ピネッラ、ゼレン、ヴィトフスカ
ブドウ畑の植樹年: 2006、2007
植栽密度: 2.4m x 0.7m

Angel

ある夏の朝早く、父と私は丘の砂利道を登って車を走らせました。 頂きで車を降りると、蔦に覆われた道を、Vitovlje村で一番古い屋敷跡に向か って歩いて行きました。 麓にはまだ霧が立ち込めていました。 すると突然、私達が立っている辺りが明るくなりました。まさに、私達の目の前で世界が目覚めたという感覚です。やがて、麓の景色がゆっくりと現 われ、谷間に広がる小麦畑は金色に輝き始めました。 そのとき、父が私に、「イエスかノーか、どうかね」と、尋ねたのです。 私の胸は高鳴りました。 父の言葉の意味を咀嚼する間もなく、私は頷いていました。 すでに父は、ブドウ畑の畝を目の前の土地のどこに造るか、そこにどんな品種のブドウを植えるか、細かい計画を作り上げていたのでした。 父が 求めていたのは、私の同意だけだったのです。 私達が見下ろしていた土地は、我が家の所有ではなく、何十年もの間、ある一家の所有だったのですが、父はもう何年も注目し続けていたのです。 そして遂にこの土地が売りに出されたのでした。 数日後、法外な値を承知で、父はその土地を競売で買い取りました。 一家のお金のすべてを注ぎ込んでしまったので、当時の私は当惑しました。 しかし今では、良い土地の値打ちはお金に換えられないということを知っています。