創造
ワイン造りに携わっていると、しばしば難しい決断をせまられることがあります。これだ、という答えを見つけても、また次の疑問が湧いてきます。 し かし、そのような試行錯誤の答えは、必ずと言っていいほど、当然のことだと思って見過ごしてしまいがちなことに潜んでいるものです。 ワインは生きています。造り手は、驕らず、侮らず、謙虚にワインの言葉に耳を傾けなければなりません。 ワイン醸造家、蔵元は、自然の手助けにこそ、力を注ぐべきであると思います。 ブドウに最適な土地を選んだら、残りの仕事は、蜂や地虫や鳥、その 他のたくさんの土に棲む微生物に任せればよいのです。選んだ土には保護と強化が必要ですが、それは本来、その土地に自生する多種多様な植 物によって供与されるものです。また、同時に、ブドウはその土地に吹く風によって守られます。 最初に熟したブドウの実を初めて味わうとき、ワインの蔵元は、自分が選んだ場所と創造主がそのブドウのために指定した場所が一致していた か否かを、初めて知ることになるでしょう